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建築カタリストのリノベ・建築よもやま話

安い、早い、旨い!は建築ではありえない!

安い、早い、旨い!をモットーにしているファーストフードはお金も時間もない私には大きな味方です。
ただ、デフレは短期的に見ると消費者にとっては良いですが、長期的に見るとあまり良いとはいえません。建築業界においてもそれは同じです。

例えば30坪前後のよくある木造の建売住宅を建てる場合、10年ぐらい前ならば大工の工事期間が3ヶ月ぐらいありました。ですが今は1ヶ月で仕上げなくてはなりません。
そうなると1人では期限内に完成できなくなるので大工仲間に応援を頼みます。
3ヶ月あれば全て自分で施工できるのでまるまる自分の給料になりますが、応援を頼めば仲間にお金を払うので自分の手取りが減ります。
そのうえ、日当単価は1番下がったままで変わっていない状況です。

確かに、今は既製品と呼ばれるメーカー品(建具や収納等)がとても良くなり、道具も進化して熟練の大工さんでなくてもキレイに早く出来るようになりました。
が、しかし建築というものは工業製品とは違います。工場で同じものを同じようにロボットが組み立てていくのではないのです。

その建物の立地、大きさ、素材、間取り、設備など状況が何もかもが違います。人間と同じで何ひとつとして同じものはないのです。

そこが大きく工業製品と違うところなんですが、残念ながら、本当に理解している人はとても少ないです。
もしくは、分かっていても世の中の流れを止めることができないから諦めているといった感じでしょうか?

現在は資本主義が少し行き過ぎ、悪い部分が出てきているような感じがします。何事も行き過ぎると危険です。

特に建築業界で個人の利益や短期的な視点でしか物事が見れなくなってくるとあの耐震偽装問題のようなことが起こってしまったり、人の命を危険にさらすような出来事が起こる可能性が大いにあります。

建築カタリスト・コマツ

誰もが安くて良いものを手に入れたいと思うのは当然だと思います。しかし、どんなものでもその価値に対してのそれなりの価格というものがあります。

ただ、単に安さを求めるとそれなりにリスクが生じるということですね。
ファストフードでは可能かもしれませんが、ほとんど全てを人間が創る建築においては安い、早い、旨い!
というのはありえないのです。