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建築カタリストのリノベ・建築よもやま話

新築物件と中古物件、
メリットとデメリット

賃貸と分譲」と同じく、住宅情報誌や住まいブログで比較されがちな新築物件と中古物件。これも住宅の購入を考えている方には気になるテーマでしょう。今回はこの二つについてお話ししたいと思います。

先に結論を言ってしまうと、このテーマにも絶対的な正解・不正解はない、と言えます。それぞれのメリットとデメリットを比較して、自分の求める暮らし方によりフィットしている方を選ぶのが正解でしょう。

新築物件のメリット

  • 物件のスペック(耐震・免震、構造、間取、設備など)がチラシやホームページに掲載されていて、事前に情報収集がしやすい。
  • モデルルームで完成見本を見ることができる。
  • 販売会社のセールス担当が懇切丁寧に説明してくれる。
  • これまで住んだ人がいない、新品である。
  • 新品なので一定水準の品質を満たしている。

新築物件のデメリット

※建築家などに頼んで新築する場合は別です。
  • 物件の価値に広告費や人件費が上乗せされた価格設定になっており、割高。初めて鍵を通した時に価値が2割下がると言われる。
  • マンションや数軒単位の建売住宅の場合、近所の環境や住民は引っ越してみるまで分からない。
  • 住みたい地域にタイミング良く新築物件が建つとは限らない。
  • 市場への供給量が中古物件に比べて少ない。
  • デベロッパーの決めた仕様で建てるため、提示されたオプション以上のことはできない。

中古物件のメリット

  • 物件の価値がそのまま価格に反映されており、新築物件に比べ割安感がある。築年数が経っていれば価格も下がっていることが多い。
  • 既に建物があるので、近隣の住民を含めた周囲の環境を自分の目で確認することができる。
  • 住みたい地域本位で物件を選ぶことができる。
  • 市場への供給量が新築物件に比べて多い。
  • 購入したまま住んでも、リノベーションで自分好みにカスタマイズしてから住んでも良い。

中古物件のデメリット

  • 図面が残っておらず、専門家が物件診断(インスペクション)を行わないと、構造など物件の詳細なスペックが分からない場合がある。
  • リノベーションする場合、完成形が目に見える形になっていない状態で購入を決断しないといけない。業者との打ち合わせも必要なので手間隙がかかる。
  • 不動産業者も物件の履歴や詳細を正確に把握していない場合がある。
  • 築年数が経過した建物に対する知識や目利きが必要。
  • 状態の良い物件からボロボロの物件まで、非常に幅が広い。

総合すると、
新築物件は物件や不動産についてあまり知識がなくても購入しやすい
中古物件は多種多様な物件から選べるだけにこだわりのある方向け
という傾向があるのではないでしょうか。

建築カタリスト・コマツ

10年以上前、リノベーションという言葉が言われ始めた頃は、物件診断の基準も整備されておらず、リノベーション工事を請け負う業者も限られていました。そのため、中古物件を購入したらそのまま住むのが当たり前でした。
ここ10年間で中古物件を活用するための手段や制度が整い、新築物件と変わらない見た目に整えたり暮らしやすくカスタマイズできるようになったことで、選びがいのある状況になってきたと言えるでしょう。

最初から新築物件か中古物件かで絞り込むのではなく、まずは住みたい地域を選び、その中で新築・中古両方の候補から暮らし方と予算に合わせて選ぶというのが、これから住まいを購入する方におすすめしたい物件選びの方法です。