Exi-japan Co.,Ltd

建築カタリストのリノベ・建築よもやま話

初めてのお店づくり、
開業準備はじめの一歩

リノベーションを仕事にしていると、店舗の内装工事を手掛ける機会が度々あります。
お店を始めようと計画している方からご相談をいただくことも多く、「何から準備すれば良いですか?」と訊かれた場合、僕は「コンセプトと事業計画です」とお答えすることにしています。

まずは場所を決めるために店舗物件を探さなければ、と考える方もいらっしゃるのですが、僕の経験上、コンセプトと事業計画がしっかりと固まっていないと、物件選びも上手く行かないことが多いです。

とはいえ、これまで経験のない方がいきなりコンセプトと事業計画を作ろうとしても無理です。それらを作ろうとする前に、情報収集から始めてください。

  1. 地域の創業支援施設や商工会議所が主催している開業セミナーを受講する。
  2. 自分がやろうと思う業種の開業をテーマにしたハウツー本を2、3冊読む。
  3. ネットの情報や開業ブログなどを片っ端から読みまくる。

1〜3は最低限やるべきことです。特に1.は無料の講座もありますので、見つけたら必ず受講しましょう。
これらを一通りやることで、「コンセプトが必要らしい」「事業計画書ってこういう書類なのか」という基本知識や、お店経営の考え方がぼんやりと見えてくるはずです。

僕が思うに、お店をやるという仕事には二つの側面があります。
お店で良い商品やサービスをお客さまに提供すること。
お店をビジネスとして経営・マネジメントして継続して行くこと。

お客さまに喜んでいただける良いお店にしたい、という気持ちはみなさん当然お持ちのはず。それはもちろん大切ですが、お店を経営し、長く続けて行くことも同じくらい大切なことです。コンセプトづくりや事業計画は、お店を経営していくことの最初の一歩となります。

情報収集ができたら、見よう見まねでも良いので最初のコンセプトと事業計画書を作ってみましょう。日本政策金融公庫のウェブサイトには「創業計画書」の書式と記入例が掲載されています。
こうした書式を参考に作ったコンセプトと事業計画は、いわば「プロトタイプ」と呼ぶべきものです。

プロトタイプのコンセプトと事業計画を作ると、事業にかけられる予算の大まかな額が決められます。

建築カタリスト・コマツ

事業資金の総額が1,000万円とした場合、運転資金用に200万円を残すと開業準備に使えるのは800万円となります。800万円以内で、物件を借りたり内装工事をしなければなりません。
また、仕入れにかかるお金やアルバイトを雇い入れた場合にはその分の人件費も必要となります。開業ハウツー本などに掲載されているモデルケースにそれらの費用を当てはめて行くと、1,000万円で開業する方が家賃に使えるのはおおよそ10万円〜15万円程度になります。

そして、次のステップでは大まかな客単価と売上予測を考えます。
例えば昼にランチ、夜にお酒を出すスタイルのカフェなら、客単価が1,000円あれば良い方です。自分自身のお給料に30万。仕入れ、家賃、光熱費、借入の返済で50〜60万円程度と考えると、月に最低100万円は売上が必要です。アルバイトを雇うのであれば、月間150万円〜200万円ないと厳しいでしょう。

月間売上100万円は客単価1,000円のお店でも、月に1,000人のお客様が来店しないと達成できません。
月に25日稼働するお店なら1日あたりの必要なお客様の数は40人です。この人数を席数で割ると、1日あたり何回転しなければならないか、回数が導き出されます。
もしカウンター5席しか作れない物件であれば、何らかの施策を考えなければならないでしょう。

店の前にある程度の人通りが見込めるのであれば、テイクアウト販売が有効です。
40人のうち半分の20人はテイクアウト、残り20人を店内飲食で対応するとした場合、5席しかない店で4回転するにはどうすれば良いか考えなければなりませんが、テイクアウトと店内5席という条件で、さらに大掛かりなキッチンを入れなくて良いとなると、お店の広さは10坪以下で十分ということになります。
ここまでイメージが固まれば「家賃10万円以下で路面の10坪以下の物件」を探せば良いということが分かりますね。

プロトタイプのコンセプトと事業計画から大体の方針が見えたところで、さらにコンセプトと事業計画に調整を加えます。

ランチタイムにお客様が集中して来店する場所なら?
→料理はテイクアウトのみにして、店内飲食は飲み物と軽食のみにするなど。

一日中飲み物と軽食主体でお客様が途切れない場所なら?
→店内飲食は喫煙者専用にしてしまうなど、固定客を作り高めの単価設定にするなど。

繁華街でお酒を飲む前・飲んだ後のお客様が多く立ち寄る場所なら?
→営業時間を夜中心にして、深夜でも女性向けに甘いものを提供するなど。

候補の物件がいくつかピックアップされた時点で、それぞれの場所に合わせたコンセプトに仕上げるわけです。

お店の経営では、与えられた状況に応じて自分を変化させ対応できる、新しいことに挑戦していくオーナーとお店が生き残る確率が高いというのが僕の持論です。最初に構想した「私はこういうお店がしたい」という思いで凝り固まっていると、現実に負けてしまうのです。

建築カタリスト・コマツ

イクシーとしては、オーナーさまがお金と時間を無駄にしないよう、プロトタイプのコンセプトと事業計画ができた時点でご相談いただけるのが最適なタイミングだと考えています。
物件の賃貸契約を済ませてからのご相談になると、コンセプトや事業計画について伺い、デザインや設計を作っている間、お店の売上はゼロなのに家賃がかかってしまうからです。
そして、プロトタイプのコンセプトと事業計画を物件や立地に合わせて調整することについても、これまでの経験からお手伝いできると自負しています。

これからお店を始めたいとお考えのお客さまは、ぜひ一度ご相談ください。
イクシーではオンラインの無料相談も受け付けております。